こんにちは。終活アドバイザーのいぶきです。
今回は家族に介護が必要になった人や、終活の一環として介護について知っておきたい方向けに、「そもそも介護施設や老人ホームって入る必要ある?」のような疑問や、各高齢者施設の種類やその違いについて紹介していきます。
また、ご自身のエンディングノートや、「終活ドリル:6-2.介護についての希望を書こう」に介護についての情報や希望を書くことができるので、この機会に進めていただけると幸いです。
そもそも介護施設や老人ホームって入る必要あるの?
まずはここから説明していきます。
確かに高齢者施設についての解説は多いけど、利用してる人の割合ってあまり聞かないね。
だいたい終活関係の記事って企業ブログで書いていることが多い。
だから「施設に入ってもらう」方向にもっていく記事が多いため、利用率にはあまり言及されないんだよね。。
そもそも、介護施設や老人ホームといった「高齢者住宅・施設」に入っている人の割合は2022年では約5.7%。
また、以下は利用者数の推移を現したグラフになりますが、緩やかに増加傾向はある(利用者の割合も上がってはいる)ものの、依然として9割以上の高齢者が在宅で生活をしています。
ただ、この5.7%という数字ですが、別に「高齢者住宅・施設」に入ることが悪いというわけではありません。
そもそも
- 介護が必要でなければ、自宅で過ごせばいいし
- 訪問介護や通所介護など、自宅で介護を受けることもできる
から、相対的に必要としている人が少ないからだと考えられます。
また、要介護認定を受けている566万人のうちであっても、約83%(472万人)が在宅で介護を受けていて、施設に入居している割合は約17%にとどまっています。
そのため、老後2,000万円問題には高齢者住宅・施設にかかる費用は加味されていません。
逆にどんな人が入っているの?
高齢者住宅・施設へ住み替える人の特徴としては、
- 単身で独居生活に不安を感じる人
- 要介護度が高く、自宅での介護が困難になった人
- 判認知症ケアや緩和ケア、看取りのニーズがある人
などありあります。
あとは、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、生活の自由度を保ちつつ必要な支援を受けたいなどの「快適な生活を求める」人が選ぶ傾向があります。
個人的に、メインシナリオは住み慣れている自宅で過ごし、どうしても施設でないと生活ができない場合に高齢者施設を検討するくらいでいいと思います。
ただ、あとから「施設に入りたい!」となっても費用はそこそこ掛かるので、金銭面での備えはできる限りしておきましょう。
最近では、健康なうちから終身で暮らせる生活共同体に移住する「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」という概念もありますが、今回はいったん割愛します。
介護施設や老人ホームの「高齢者住宅・施設」の種類について
先ほどの章で「高齢者住宅・施設に入居する人は少ない」と、本題の腰を折ってしまった感がありますが、必要な人には大切なサービスになります。
それぞれ主な種類と特徴について紹介していきます。
- ①シルバーハウジング(公的施設)
- ②ケアハウス(公的施設)
- ③特別養護老人ホーム/特養(公的施設)
- ④介護老人保健施設/老健(公的施設)
- ⑤介護医療院(公的施設)
- ⑥住宅型有料老人ホーム(民間施設)
- ⑦介護付き有料老人ホーム(民間施設)
- ⑧サービス付き高齢者向け住宅/サ高住(民間施設)
- ⑨グループホーム(民間施設)
めっちゃ多い!
確かに(笑)。ただそれぞれ違いがあるから、分ける意味はちゃんとあるよ。
先に公的施設と民間施設の違いについて
高齢者住宅・施設には「公的施設」と「民間施設」ありますが、それぞれに特徴があります。
公的施設
国、地方自治体、社会福祉法人、医療法人などが運営をしており、民間施設よりも補助金を使えたりと費用が安いことが多い。
一方で、施設数が少なく、入居待ちになることが多い( 要介護度や家族の状況などで優先順位が決まる)ことがデメリット。
実際問題として、公的施設に入れなかったから民間施設に入るケースも多々あります。
民間施設
民間企業が運営しており、設備が充実し多様なサービスを提供している。
反面、費用は高め。
国公立大学と私立大学みたい。
国公立の方が学費が安いけど入るのが大変みたいな。
仕組みは一緒だね。
民間施設の場合はいい意味で贅沢費としての一面もあるから。
次に、1つずつ説明していきます。
①シルバーハウジング(公的施設)
いわゆるバリアフリー仕様になっている賃貸住宅で、生活保護員(入居者の安否確認や相談に乗ってくれる人)が配置されています。また、食事の提供などはなく、一般の公営住宅の1階部分に配置されることが多いです。
シルバーハウジングは、高齢者が安全かつ快適に生活できる環境を提供することを目的としており、公的な性質が強いため比較的低コストで利用できる点が特徴です。
公営住宅のシルバーハウジングはめっちゃ人気のため、抽選の倍率が数十倍になることもざらにある。
施設というよりかは普通にバリアフリー住宅として住む感覚だね。
②ケアハウス(公的施設)
60歳以上の高齢者で、家庭での生活が困難な方向けの施設で、一般型(自立型)と介護型の2種類がある。
一般型は自立した生活に不安のある方、介護型は要介護度1以上の方が対象です。
ワンルームタイプが多く、食事提供、掃除、洗濯などの日常生活支援を受けることができます。
③特別養護老人ホーム/特養(公的施設)
原則として65歳以上で、要介護度が3以上の認定を受けた人が対象の介護施設で身体介護や生活支援を受けながら生活するための施設です。
要介護度3:立ち上がりや歩行などの基本的な動作を自力で行うことが困難で、食事や排泄などの日常生活全般にわたって介助が必要な状態のこと。
民間の有料老人ホームと比較すると安価である一方、入居希望者が多く、待機期間は平均で2〜3年程度と言われています。
④介護老人保健施設/老健(公的施設)
要介護者が在宅復帰を目指してリハビリテーションを受けるための施設です。
対象としては要介護度が1以上の高齢者でかつ入院や治療の必要がない方で、通常、長期入院からの退院後に一時的に利用されることが多いです。勤医師、看護師、介護職員、リハビリ職(理学療法士など)が配置されており、24時間体制で利用者のケアを行います。
3ヶ月から6ヶ月程度の短期で入るイメージ。
退所後は、自宅やほかの施設に移るから、ほかの施設とは少し性質が違うね。
⑤介護医療院(公的施設)
要介護高齢者が医療的ケアと日常生活の介護を受けながら、長期的に生活できる施設です(病院の中にある施設)。
対象は要介護1から5の認定を受けた高齢者と幅広く、2018年に新設された施設で、従来の介護療養型医療施設(療養病床)の役割を引き継いでいます。
入院施設ではなく生活施設のため、レクリエーションルームや談話室などもあったりとサポートが充実している一方、料金が高めであったり、個室がない可能性もあります。
⑥住宅型有料老人ホーム(民間施設)
ここからは民間施設についての説明です。
見守りサービスと生活支援サービス(食事、掃除、洗濯など)が提供される住宅。
ただ、介護サービスについては外部の介護事業者と契約する必要があります。入居者が必要に応じて介護サービスを選択し、契約する形です。
また、有料老人ホームでは外出や外泊をする際は、その都度届け出が必要になります。
良くも悪くも生活を管理されるのが老人ホームなんだね。
⑦介護付き有料老人ホーム(民間施設)
食事や入浴、排泄などの介助サービスを提供する施設。原則として65歳以上で、要介護認定を受けた方が対象です。
⑥住宅型有料老人ホームに介護サービスが付いたバージョンだね。
自立してたり、軽度の介護なら⑥住宅型有料老人ホーム、
重度の介護が必要なら⑦介護付き有料老人ホームというすみ分けかな。
⑧サービス付き高齢者向け住宅/サ高住(民間施設)
見守りサービスと生活支援サービス(食事、掃除、洗濯など)が提供される住宅で対象は60歳以上。
あれ?⑥住宅型有料老人ホームと一緒じゃない?
役割としてはあまり変わらないです。ただ、違いとしては、
・バリアフリーに対応している
・契約方式が、一般の賃貸住宅と同じ
・外出や外泊をする際の届け出などは不要。
見た目も普通のマンションと変わらないことが多く、これまでと変わらない自由な暮らしをしたい人がサ高住を選ぶことが多いです(「サ高住」って名前もなんかカッコいい(笑))
⑨グループホーム(民間施設)
こちらは老人ホームとはまた別で、認知症の高齢者が共同生活を送るための介護施設です。
認知症と診断された要支援2以上の高齢者が対象で、自分で身の回りのことができる程度であることが条件です。
また、グループホームは地域密着型のサービスのため、その人が住んでいる地域以外の施設には入居できません。
料金について
最後に料金について話をします。入りたい施設があってもお金が払えなければ入居することはできません。
施設によって料金は異なりますが、それぞれの相場は抑えておきましょう!
種類 | 月額の相場 |
---|---|
②ケアハウス(公的施設) | 7.5~12.4万円 |
③特別養護老人ホーム/特養(公的施設) | 10~14.4万円 |
④介護老人保健施設/老健(公的施設) | 8.8~15.1万円 |
⑤介護医療院(公的施設) | 8.6~15.5万円 |
⑥住宅型有料老人ホーム(民間施設) | 8.8~19.1万円 |
⑦介護付き有料老人ホーム(民間施設) | 14.5~29.8万円 |
⑧サービス付き高齢者向け住宅/サ高住(民間施設) | 11.1~20万円 |
⑨グループホーム(民間施設) | 8.3~13.8万円 |
①シルバーハウジングは?
これについては相場を示した資料はなかった。。
ただ、名古屋市のシルバーハウジングの資料を見たら所得に応じて2万~4万くらい。
→令和6年度第1回シルバーハウジング入居申込案内 16ページ以降にそれぞれの家賃が記載されてます。
エンディングノートに希望を書こう
ここまで、介護施設や老人ホームの種類について紹介をしてきました。
最後に終活に戻って、エンディングノートを進めていきましょう。
→終活ドリル:6-2.介護についての希望を書こう
- 介護が必要になった時に、自宅にいるか施設に入りたいか
- 施設に入る場合は希望の場所
については、今から調べて希望を決めていくことができます。
施設によっては、見学や体験入居を受け付けていることもあるので、ぜひ調べてみてください。
ただ、正直なところ特定の施設を選ぶ際は、料金を支払えるだけの貯蓄があるかを判断したうえで、家族とも共有しておくことをおススメします。
まだ年齢的に若い場合などは一旦自宅介護か家族に任せる方向でいいと思います。
あとから見直しはできるので、まずは意思を示しておくことが重要。
確かに民間施設ならまだしも、公営施設は希望しても入れるかどうかはわからないもんね。
まとめ
今回の記事では介護施設や老人ホームの種類について紹介をしていきました。
ぜひ覚えておきたいポイントとしては、
- 高齢者の9割以上の人が訪問介護含め自宅で過ごしている
- 高齢者施設にはいろいろな種類があって、機能が異なる
- 費用も多くかかるので、入居を希望するなら予算を確保しておく
の3つ。高齢者施設の細かい違いについては全部覚える必要はなく、現段階では 「なんとなく違いがあるんだなー」くらいで大丈夫です。
実際に自分が入居を考え始めたときに詳しく調べて、希望の施設を探す際のフックとして生かしていければと思います!
ほかにも終活における様々情報を発信していくので、ぜひチェックしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。